こんにちは!
ファイナンシャル・プランナー、キャリアコンサルタントの横山延男です。
3月に内閣府より中高齢に達した「ひきこもり」の数が約61万3千人という発表があったことは記憶に新しいところです。
クローズアップされた「親なき後問題」について決して他人事ではないということを考えてみましょう。
中高齢のひきこもりは実に61万人超も
以前より、若年層のひきこもり状態にある方の問題は注視されてきましたが、その一方で若年層以外、つまり中高齢に達している方々の中でも、ひきこもり状態にある方々は少なくないのでは?とみられていました。
これを受け、内閣府は40歳から64歳までの中高齢層を対象とした調査を初めて行いました。
この「生活関する状況調査」では、40歳から64歳までにおいてひきこもり状態にある方が実に61万3千人に達するという調査結果で社会に大きな衝撃を与えました。
単純に比較をすれば、15歳から39歳までのひきこもり状態にある人の数が推計54万1千人であることからも、問題の大きさが認識できるところです。
「親なき後問題」とは?
ひきこもり状態にある子を支えているのは親であることが一般的です。
親はひきこもり状態にある子の社会的復帰をはかりながら経済的支援を行っています。
子の年齢が若年であれば、支える親の年齢もまだまだ若く、将来的な不安を考えることも少ないかもしれません。
しかし、子が中高齢に差し掛かるに従い、それは親が高齢になっていることを意味するのです。
8050問題は、親子の年齢を意味します。40代50代となった子の親は70代80代になり、その多くは老齢年金や貯蓄の取り崩しで生活をしているのが現状です。
本来であれば、自分たちの老後生活を送るためのお金である老齢年金などを子どもを支える原資として活用していかなければならないのです。
親が経済的にひきこもり状態にある子を支えることができなくなった後、子の生活は成り立たなくなってしまうでしょう。これが「親なき後問題」です。
親なき後というのは、親が亡くなった後という意味だけではありません。
親が介護状態になってしまうなどの理由で、実質的にひきこもり状態にある子を支えることができなくなってしまう、これも親なき後問題なのです。
現在高齢者においては、長寿化する一方、それに伴う要介護者の増加が問題となっています。
下記表は、65歳以上の介護保険での要介護者ならびに要支援者と認定を受けた人の数ですが、2015年で約608万人に達しており、その中でも特に75歳以上の割合が大きくなっています。
出典「平成30年度高齢社会白書:内閣府」
親なき後問題に備えるために、どのように対処していけばよいのでしょうか。
これは、問題を直視する。向き合うということが大切です。
ひきこもり状態にある子を持つ親は、子の社会復帰を望んでいます。
もちろん、社会復帰するための支援を最優先で行うわけですが、子がある程度の年齢に達した時は、その一方で万が一のことも考えるべきではないでしょうか。
もし、親が元気なうちに社会復帰がかなわなかったら・・・
そのために残される子の生活資金や住まい(居場所)を確保するための施策を打っていくことが肝心と考えます。
これについては、別の記事で具体的な方法を述べていますので是非ご覧ください。
「親なき後」におけるお金と住まいの問題
https://jlsa-net.jp/szk/oyanakiato-oknaesumai/
本当は61万人どころではない?
この記事の冒頭で、中高齢のひきこもり状態にある方の数が約61万3千人と記しました。しかし、実際はこんな数では収まらない、という声が非常に多く聞かれます。
私、横山は、ひきこもり状態にある方ならびにその親御さん等を支援する団体と一緒に親なき後問題における支援をFPという立場で行っています。
現場の声では、今回の数字は氷山の一角であり、表面化していない家庭はまだまだ存在しているというのが一致する認識です。
実際に、訪問介護を行う介護職の方や民生委員等の方々は、高齢者宅を訪問するとひきこもり状態にある子が存在しているという実態を多く報告しています。
ひきこもりというのは、ご本人の病気により起こることもありますが、それ以外にも実はご家庭の環境、言ってしまえば親の子の育て方により起こることも多くあるようです。
例えば、親が非常に厳格であり子に対して威圧的に接する、親の価値観を子に押し付ける、子を非難・しかってばかりで褒めることをしない、
こんな家庭の子は常に親の顔色をうかがい、指示を待って行動することを常とするため自身で選択することができなくなります。
自己肯定感も低く、自分に自信がないことから、なにかの挫折をきっかけに社会からひきこもってしまうことも多いわけです。
このような環境は、私たちの周りにも多くあると感じませんか?
つまり、ひきこもりという問題は常に私たちの身近に存在するのです。
ひきこもりは本人だけの問題ではない。実は親こそ考え方を変えなければいけないのかもしれません。
だからこそ、社会がそれを認識し、現状苦しんている本人やご家庭を支援していく策を考えていかなければいけないのです。